いちばん大きな幕を頼んだ母の八十歳の祝いに取り付けの人は少し家が狭いですねと言い僕はとにかく持ってきてと答えた四隅には赤い花が刷ってあり真ん中には母の名
古い梯子を上る先端はヘチマ棚にもたせてある昔父が作った梯子だ脚の長さが半手幅ずれているĐạtが下で押さえながら肩に電話を挟んでいる
こっちを上げてそっちはまだ引かないで
横木に紐を通すと実の付け根に巻きついたĐạtが張りを確かめて引くとヘチマが額をこつんと打つ歯の間から小さく悪態をつく職人が何か言いましたかと聞く
Vânが鋏を差し上げ僕は隙間へ刃を通す幕がちょうど下へずれたとき僕もちょうど鋏を閉じた実が一つ空のたらいに落ち若い茎が手に残る
職人の後ろに母が立っている赤い上着が石灰の粉に触れる茎をズボンのポケットに隠す隣の実が揺れている母が指で触れたのは僕の額の真ん中の跡
こっちを上げてそっちはまだ引かないで
母はまだあんなに若い実だったのにと言う僕は段を踏み外すĐạtが足を支える幕が右へ傾く
職人は代金を受け取って路地へ出た僕は二度目の結び直しをする祝いの文字が半分隠れ母の名は壁に張りついている左のズボンのポケットではヘチマの汁が紙幣にくっつく
